『夢見石』の冒険:#03 <<Previous ■
[shortland 『夢見石』第3回] 代替プロローグ「サラの夢」 |
一体…今が、『夢』なのか、現実なのか、判らなくなり始めている。 「追いかけっこは、もう終わり。おとなしくその『石』を渡しなさい。」 初めての仲間と9日間の道程を旅していた。 迷宮の中を歩いている貴方達。 『聖戦』 「うっ。」 ブレンダの家の前。 迷宮を無事出てきた貴方達。 「これは、また強い魔力を持った『石』ですな。 ゴーレムの剣の一撃が、リッキィの肩口を袈裟斬りにした。 『夢』…『夢』、『夢』… |
[shortland 『夢見石』第3回] あらすじ |
1.それすらも日々の果て サラ、リッキィ、ラグナー、ルギアの一行は「恵みの森」の中を懸命に歩いた。どうしても元の世界(約300年後)に戻りたかった。それには、一か撥か、迷宮を踏破して、その中にある過去の『夢見石』と、自分たちが手に持っている未来の『夢見石』とを会わせてみるしかないだろう、そういう結論に達していた。どのみち、この時代でその迷宮の他に知った場所はなかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 2.世は情け 「恵みの森」は、この過去の時制においても未来同様、あるいは未来以上に危険で、昼間なお油断のならぬ場所だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 3.リフレイン その晩、再びインヴィジブル・ストーカーの襲撃があった。ご丁寧にも、昼間倒したバブーンたちのゾンビのおまけつきだった。全員で何とか撃退したものの、サラはセフィロムの悪意をはっきりと感じ取った。徐々に「その時」が近づいてくるようだ。夢の通り、皆が炎に焼かれ、ボーンゴーレムが4本の剣でリッキィを刺し貫くその時が。「リッキィが死んでしまう。」うわごとのようにそう言うのを聞きつけて、リッキィは「私は死んでないよ、サラ」と慰めたが、サラは「でも死んでしまう」と泣きそうな顔で答えるばかりだった。 ナゼ私タチガコンナ目ニ遭ワナケレバナラナイノカ。 だがこれ以上は耐えられそうになかった。「リッキィが死んでしまう…」サラは壊れたレコードのように(この世界にレコードはないが)繰り返した。「生きてるよ。死なないよ。」そう力づけるリッキィに耳を貸さず、サラは激しくかぶりを振って「だめ。ゴーレムが…ゴーレムがリッキィを殺してしまう」と悲鳴をあげた。「しっかりしなよ、サラ! 神さまのために『石』を封印するんだろう?」サラはゆるゆると顔をあげ、「わからない」と言った。もう私には神の意志がわからない、と。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 4.悪夢の末路 予測通り、とはいえ望んだことではなかったが、翌日の夜も「彼女」はやってきた。交わす言葉から、昨夜の「彼女」は本体ではなく、今夜の「彼女」が本体らしいと知れた。「彼女」は夢の通り、ボーンゴーレム2体とアンバーゴーレム1体とを伴っていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 5.迷宮 セフィロムによる脅威は去り、サラは少し精神の平衡を取り戻した。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 6.ここより永遠に 中央の部屋の、そのまた中央にこの時代の「石」はあった。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 7.顛末 サラが次に気付いたとき、彼女はだれかに抱えられていた。 |
[shortland 『夢見石』第3回] サラの第三の手紙 |
神の忠実なる僕、神官サラからパシエンス修道院の皆さまへ。 ほむべきかな、私たちの母なる神エオリス、憐れみ深き母、慰めに満ちたる母神は、いかなる艱難の中にいるときでも私たちを慰めてくださいます。 院長様、兄弟たち、今日ほどこの身にあふれる神の愛を感じたことがあったでしょうか。私たちの信仰の働きと、愛の労苦と、母神エオリスに対する望みの忍耐とによってもたらされる福音を、確信したことがあったでしょうか。 悪夢のような日々から解放されて、私は今、清しい心で聖句を誦ずることができます。「あなたがたは神にあっていつも喜びなさい」と。 どのような悪夢であったか、それはとてもここに書けるものではありませんが、絶望と苦痛と不信とを十二分に味わった日々であったと言っておきましょう。 それに私は、そのとき、神の僕として忌むべきモノに非常に執着していました。兄弟たち、あなた方も知っている通り、苦痛すら神のくだされるものでありましょう。その苦痛からただ逃れるために、私は忌まわしい力に頼り、夢の世界に逃げ込もうとしていたのです。 私をその泥沼から救ってくれたのは‥‥もちろん神の御力ではありますが‥‥この冒険における仲間たちの存在でした。夢と現実の区別も分かたず、ほとんど錯乱しかけていた私を良き道に引きとどめ、最後まで希望を紡ぎ続けてくれた彼ら一人一人に、心から感謝しています。彼らのおかげで私はこの世界に立ち戻り、勇気と信仰とを取り戻すことができたのですから。 今ではこの試練をくださった神に感謝しています。愛する兄弟たち、こののち私は決してためらわないでしょう、「私たちはみな神に愛されている」と語ることを。また、「正しく歩くことに努める人間には、神はあらゆる善意と正義と真実との実を結ばせてくださる」と説くことを。 最後にお知らせしておきます。冒険者ギルドから請け負った仕事は果たせませんでしたが、運良く大金を手に入れることができました。身の回りの整理が付き次第、近々にそちらに戻るつもりでおります。どうかもうあの借用書のことで頭を悩まされませんように。私のような若輩者でもやっとお役に立てたかと思うと、いえ、それよりも皆さまの喜ぶ顔を見られるかもしれないと思うと、今すぐにここから飛んで行きたい気持ちです。 母なる神から平安ならびに信仰に伴う愛が、兄弟たちにありますように。 フィルシム郊外にて サラ |
[shortland 『夢見石』第3回] プレイヤーのコメント |
何しろ無事に終わってよかったです………… 辛かった……(笑)。何が辛いって、今回やったサラというキャラは「非常に意志が強い」という設定を背負っていたため、あ〜んなヒドイ夢を見させられてもなかなか「弱音が吐けない〜!!」のでした。さすがに「リッキィが死んじゃう〜」とか「ああああ、ゴーレムが、ゴーレムがぁあああ」とかって妄言を吐いてましたが(それを見て対応に困るグリュックとハンクの様子が可笑しかった)。しかし最後まで「どうして私たちがこんな目に!」ってカミサマを呪う言葉は吐けませんでした(つまんない)。口を開くと吐きそうで怖いからどんどん無口になるし……何にせよロールが難しかったです。うまくできなかった部分も多々…。反省。 まぁ、終わりよければすべてよし。振り返ってみると、お金の分配なんかもおたがい譲り合うようなイイひとだらけのパーティでしたね。リッキィはガラは悪いけどウォームハートなイイやつで、サラも途中からは年下の彼女に頼り切ってた気が。ルギアも結構おひとよしで、さらに「しがない中間管理職」っぽい感じが出てて可笑しかったですね、プレイヤーは若いのに(笑)。ラグナーも…彼の「サラは人間のまま死なせてやろう」発言にはいい意味で驚きました、いやホント(笑)。 みなさま、フィルシムへお立ち寄りの際は、パシエンス修道院へどうぞ。今回の一件で、「神の愛」についてほぼ無敵の信仰を持つことができたサラがおもてなしいたします(笑)。 |