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orangedice [shortland VIII-miscellaneous11] orangedice アルトの夢:460年3月8日の夜 orangedice

「久しぶりだ……だいぶ歳をとったな。」
「それはお互い様だわ。」
 その二人は、装飾品のない、けれども殺風景ではなく、むしろ上品な清潔感を漂わせたある部屋の一室で、しばらくぶりの再会を果たした。開け放たれたガラス窓からは、春の暖かい朝の日差しが、降り注いでいる。
「どうだ? 暇が欲しいというお前の要望に応えて、お前が暇になるように尽力してみたんだがな。」
と、今しがた入ってきた初老の男、アートン・ヴァロヴァルクスは、旅行用の外套を脱ぎながら、先に来ていた初老の女性マジェンダ・リーテルに笑いながら話しかけた。
「ええ、おかげさまで。問題を残すことなく要職から解放されましたわ。」
と、マジェンダの方はやや皮肉な笑みを浮かべながら、答えた。
 アートンの方は、マジェンダの皮肉をさらりとかわして、手に持ったコートを壁際のコートかけにかけた。
 そこには、すでにマジェンダの外套が、かけられている。どちらのコートも見る者が見れば一見して高価でかつ困難な冒険に耐えられるだけ頑丈な造りになっていることが判る。
「おや、今回の件は、お前が私に助けを求めてきたのではなかったのか……」
「いいえ。私ならば、貴方に依頼はいたしません。」
「ほう、きっぱりと言ってくれるな。だが今回の件は、そう簡単にけりが付く問題では無かろう。私は、どうせもう居らぬ存在。旧友として力を貸そう。お前の国には、優秀な僧侶はいないのだろう?」
「どうせ断ったって首を突っ込むつもりでしょう。ならば遠慮がいらない分、貴方のほうが楽だわ。」
 と、不意に会話が、とぎれた。
 次の瞬間には、アートンは、胸から下げていた聖印を手に、マジェンダの方は、呪文詠唱の構えに入っていた。
 二人とも、既に閉じられたままの扉の方、窓を除けばこの部屋唯一の出入り口、を向いている。
「さすがですな。いやいや、お見事。歳をとられていてもさすがに……」
 話は、最後まで聞かれなかった。
 マジェンダの呪文詠唱が、とぎれることなく完成し、扉の向こうの『彼』に向かって11本の光の矢が一直線に飛んでいった。
「何者だ。答え如何によっては、次が行くぞ。」
 11本の矢が命中しているというのに、二人は、相手の実力を瞬時に判断したのか、未だ攻撃の手を緩めようとしない。
 壊れた扉の向こうに倒れていたのは、先に来ていた二人とは似つかわしくない、タキシードを着たうら若き青年だった。
「やめて下さいな。僕も呼ばれてきただけなんですから。」
 青年は、汚れたタキシードの裾を払いながら立ち上がって、何事もなかったかのように部屋の中に入ってきた。
 彼のタキシードは、先程の呪文のせいで穴だらけになっている。熟練の冒険者でも充分重傷になっているはずの怪我をしているはずなのに、青年は、まるで逢いたかった旧友に会ったかのように、にこにこしている。
「敵ではなさそうね。」
 何処を見てどう判断したのか、マジェンダは緊張を解いた。
「これで全員のようだな。」
 アートンは、部屋に用意されたテーブルに3つしか椅子がないことを確認して、そう言った。
「私達3人で、行けってことかしら。誰がセッティングしたか判らないけど。」
「はい。実は僕も判らないのです。でもここに来れば、普段お会いできないような方々にお会いできると聞いたので正装できたのですが……ダメになっちゃいましたね、ハハハ。」
 もし、一部始終を見ている人がいたら、この発言や様子を見て、きっと青年はキチガイに違いないと思うであろう。
「誰に聞いた?」
「誰って、この手紙ですよ。て・が・み。」
 その手紙は、古代サーランド王国時代の貴族が使う魔力の込められた羊皮紙が使われていた。
 その内容は、今日この場所について(ここまでは、二人とも同じ内容だった)と、参加メンバーについて、そして目的地について書かれている。
「竜王山ね。やっぱり、・・・の件ね。」
「このメンバーを集めた者は、なかなか人を見る目があるようだな。」
「国の方でも討伐隊を出しているんだけど……」
「無理だろうな、派遣される討伐隊レベルの相手ではないぞ。」
「そうね、元々実践より理論派だったはずのやつが、まさかここまでやるとは私も思ってなかったわ。」
「どちらにしろ、早いウチに片づけなければならない問題だ。」
「すぐにでも出発する? 私は大丈夫だけれど。」
「私も大丈夫だ。ところで青年、お前は何を使うのだ? 戦士のようだが。」
と、突然青年の方を向いてアートンは、話しかけた。
 アートンが言うには戦士とのことだが、この青年はどう見ても優男で、腕力も体力もありそうには見えない。
「僕は……」
といって耳に付いているクロス状のイヤリングに触れる。
 するとイヤリングの飾りが一振りの長剣と、一本のダガーになった。
「これです。」
 長剣とダガーを構えてにっこりとする。
 その構えには一部の隙も見あたらなかった。
 改めてマジェンダが、青年の姿を見回す。
 よく見れば、両指にはまっている指輪も、ベルトのバックルも、イヤリングもそして長剣とダガーも、とてつもなく強い魔力を放っている。
「なかなか使えそうね。貴方、名前は?」
「はい、リナールと呼んで下さい。」

…よくも私のために揃えてくれたものだ。ふふふ、来るがよい。待っているぞ…



 ドーンと巨大な質量のモノが倒れる音が戦闘終了の合図となった。
「フロストサラマンダーが12匹か...さすがにここまで降りてくると、敵のレベルも変わってくるな。」
 ここは、龍王山の山腹に数多ある迷宮のなかでもっとも新しく、かつ現在もっとも危険に満ちている迷宮である。
「こちらの被害は?」
 アートン……黒いケープをまとい、杖を持っているが、そのケープの下からは、スーツメイルと聖印が姿を覗かせている……が、マジェンダに、こう声をかけた。
「ロックゴーレムが1体。ボーンゴーレムは、全滅だわ。」
 マジェンダ……黄土色のローブをまとい、こちらも杖を持っている……は、そう答えた。
「ゴーレムの残数は?」
 アートンは、自分とマジェンダの傷の手当をしながら会話を続ける。戦闘後の一息をつく場面だが、両者の緊張の糸は解かれていない。
「シルバーが2体、ロックが1体。ブロンズとアンバーは4体ずつ残っているわ。」
「アンバーは、もう戦闘の役にはたたんな。トラップ回避用として2体呼び出しておいてくれ。」
「あのー、僕のこと忘れてませんか〜。」
 この場に不釣り合いな、間の抜けた青年の声が、部屋に響き渡る。二人とは親子ほど歳の離れた美形の青年、リナールが、右手に片手剣、左手にダガーといういでたちで立っている。装備からは戦士だろうが、鎧は着けずに洒落たタキシードに身を包んでいる。
 彼らは、ラストンの正規兵や熟練の冒険者ですらクリアできなかった迷宮を、たった三人で、最下層までやってきたのだ。
「どうせ、怪我してないだろう。」
 アートンは、リナールに一瞥をくれ、冷たく言い放つ。
「そんなぁ、見て下さいよ、ここ。タキシードが破れちゃいましたよ。でも、ちゃんと相手の状態を瞬時に判断してくださるなんて、さすが元最高司祭様。」
 元、を妙に強調して話しかける青年。アートンは無視をして先に進む準備をする。
 と、突然先に進む扉の方で大きな音がして天井が崩れ去った。扉を開けたブロンズゴーレムと、先行させようとしていたアンバーゴーレムは、一瞬で瓦礫の下に埋まった。
「出口の扉に罠とは、なかなかやるな。」
「ちょっと見くびっていたわ、やつのことを。」
 扉の向こうは、壁だった。
「さて道が無くなったか。一つ呪文に頼るか」
 男が呪文詠唱に入る。『ファインド・ザ・パス』の呪文が紡ぎ出された。
 『道』は、何もない壁の方を指し示している。しかし、すぐに呪文の効果は、かき消された。
「さすがに、最後までは見せてくれぬか。」
「ここの壁ね。調べてみるわ。」
 女は、トラップディテクションワンドを取り出した。
「罠は、なさそうね。」
「でも、シークレットドアもないですよ。」
 リナールが、壁を調べながらそう言った。
「……魔力は感じる……! そうか、『マジックドア』だわ。」
「ということは、10フィート向こうは部屋だな。」
「ええ、『パスウォール』で通り抜けられるわ。」
「その前に隣の部屋に何があるか調べておく必要があるな。リナール、一人で行ってみるか?」
「いえいえ、僕にそんな大任任せないで下さいよー。今までみたいに呪文でピューッとやっちゃって下さい。」
 と、顔の前で大仰に手を振るリナール。
「『ウィザードアイ』を『ディメンションドア』で飛ばしてみるわ。」
 素早く2つの呪文を唱えると、しばしの沈黙が訪れる。
「……隣の部屋は、100フィート×100フィートの広さがあるわ。中央にヒュージグリーンドラゴンが一体。待ちかまえているようね。財宝がないところをみるとクリエートされたモノのようだけど……今までの例から言っても、『ディスペル』は無理なようね。ドラゴンの後ろに、扉が見えるわ。」
「グリーンドラゴンとは、やっかいなモノを。対応するレジストが無いではないか。」
「どうする? やり過ごしましょうか?」
「今後のことを考えたら、そうもいくまい。ブロンズ2体とシルバー2体、先行投入してくれ。」
 全員に再度、『ヘイスト』と『ブレス』をかけ、ブロンズゴーレムには『ストライキング』をかけた。
 マジェンダの『パスウォール』により壁に穴が開き、広い部屋の中にいる巨大なグリーンドラゴンが、その姿を現す。
 正面からブロンズゴーレムが2体突っ込み、シルバーゴーレムが左右に展開する。
 リナールは、「とぅ!」とわざとらしく声をかけ、ジャンプすると、そのまま上空からドラゴンの首めがけて飛んでいった。
 『フライ』の能力は、青年のマントの魔力によるモノらしい。
 戦闘は、割とあっさりと片づいた。1ラウンド目に、ブロンズゴーレム2体は、ドラゴンのブレスをもろに喰らったけれども一撃で墜ちることなく、反撃の拳攻撃と、左右のシルバーゴーレムの拳、それに空中からの青年の剣による五回攻撃により瀕死の重傷を負ったドラゴンは、次のラウンドの反撃を行う間もなく沈んだ。
「どんなモンです。コレで僕もドラゴンスレイヤーの仲間入りですね。」
 「えっへん」と大いばりのポーズをとるリナール。対照的にアートン&マジェンダの老人二人は、何かひっかかるものがある、といった顔をしている。
「おかしいわ。倒せば消えるはずだけれど……。」
「妙だな……!!」
 突然、背後から呪文詠唱が聞こえる。そこには、黒いローブをまとった男が、いつの間にか立っていた。
 アートンが、身構えて後ろを振り向いたときには、もう遅かった。
「しまった! ……気配が全くなかったというのに……」
 その声は、この迷宮の主の『タイムストップ』の呪文によって止められた。
 言葉の続きは、3つの赤い宝石の輝きと、『アイスストーム』の嵐の中でかき消された。
 総ての光と轟音、嵐が収まったとき、……しかしまだ二人とも立っていた。
「リナールはさすがにくたばったか……しかし、お前の呪文も『サイレンス』で封じたぞ。」
 黒ローブの男は、『サイレンス』にお構いなく、次の呪文詠唱に入った。
 アートンとマジェンダのまわりに再び『アイスストーム』が渦巻く……はずだったが、今度はマジェンダのスタッフの中に嵐は吸い込まれていった。
「気をつけて、『プロジェクトイメージ』よ。この近くに本体がいるはずだけれど。」
「そうか、ならば『トゥルーサイト』!」
 女性の方は、その間に『マジックミサイル』を滞空させておく。
「そのドラゴンの中に隠れておる。……ドラゴンも動き出すぞ、気をつけろ。」
 倒したはずのドラゴンがアンデッドドラゴンとして復活している。が、女性の11本の『マジックミサイル』によって再び動かなくなった。
「いい加減出てこい。一人でここまでやれたことは称賛に値するが、もう潮時だ。」
 その声に呼応してか、ドラゴンの死体の中からふらりと『スタチュー』が浮遊した。
 『ライトニングボルト』。女性は、有無をいわさずその『スタチュー』に向け、呪文を放った。
 電撃は、『スタチュー』を貫き、相手は元の姿に戻って、落下した。

…私が…負ける…私の研究は…完璧なはずだ…私は正しい…
…これが有れば神をも超える…超えられるのだ…
…確認しよう…私が作り替えた世界を…
…そうだ…確認しよう…新しい身体で…

orangedice [shortland VIII-miscellaneous12] orangedice Gの夢4:460年3月15日の夜 orangedice

《あなた》は、再び奇妙な夢を見る
…いやこれは夢ではないことをすでに知っている
夢と現の狭間で、《あなた》は多くのものを見る
大分、心の中で調節できる様になっていた
しかし、
相手の強い感情、
《あなた》の強い想いは《あなた》の精神力を上回る
それは、見えてはいけないもの? 知ってはいけない真実?
《あなた》は心の重みに耐えかね再び気を失った

研究所

 恵みの森だろうか、広葉樹の生い茂る豊かな森の中の研究所にある中央研究室。幾つもの羊水の入った円筒形の筒が立ち並ぶ。そのうち2本にだけ中身が入っていた。一つは4歳ぐらいの少女、もう一つは人間の有精卵である。
「クロムよ。お前、変わったな。」
「私からすれば、貴方やトーラファン、エクシヴの方が変わったようにしか思えませんが。稀代の戦車マスターとして一度に10数台のジャガーノートを操る能力を持っていた貴方、ラストンの殆ど全てのマジックアイテムを作成していたマイスター、トーラファン、古今東西、未来までも知り得る男とまで言われた博学王エクシヴ。何故皆王国の中枢から逃げるのですか。」
「贖罪かな。もう何もかもイヤになったのだよ。」
「虚無の杖に関わっていたことがですか。」
「それだけでもないがな。田舎に引き込んでゆっくりしたいものだ。」
「私はまだその気はありませんよ。私は力を手に入れました。理論上この力を組み合わせれば、神をも超えることが出来ます。」
 その手に握られているのは、22枚のタロットカード。
「過ぎたる力は身を滅ぼすぞ。」
「マウエッセンのようにはなりませんよ。そういえばマウエッセンは、転生に失敗したそうですね。」
「ああ、自分の娘に全て奪われた。自分の魔力も前鬼も後鬼もな。今ラストンで保護しているが、恐ろしい少女だ。生気が全くない。マウエッセンが興味で死体に産ませただけはある。ただの娘ではないよ。歳はその子と同じぐらいだがな。」
と、円筒形の中の少女を指した。
「気になりますか? 私の108番目の子です。完璧な僧侶を目指してみました。107番では失敗しましたから。」
「今までの子供達はどうしているのだ。」
「半分は研究の途中で死亡しましたね。生き残った半数は、ショーテス山中の施設で育てていますよ。もっとも私が作ったのはこれで8体目ですけどね。この子の素体は良いですよ。ガラナークの王家に近しい者ですから。先日この研究所に押し入った一団がいましてね。捕まえたんですよ。その女から卵を摘出して、培養して作りました。やはり素体が良くないと良いモノは出来ませんね。」
「人体作成か。神を冒涜する行為として神罰が下ると言われているがな。」
「なにエクシヴみたいな事を言っているのですか。それより見て下さい。その隣。これは、マティスのところの女奴隷から提供されたモノなのですが、サーランド王家の血を引いていますよ。それに私の血を混ぜてみました。」
「それは自分用か。」
「ええ、私は一度死にます。このカードのせいで。でも私は見ますよ。私の作り出した世界を。私は神を超えるのです。すばらしいでしょう。私の作り出した傑作と私の集めた子供達が、このショートランドの未来を作るのですよ。ああ、ああ何とすばらしいことか。」
「…狂っているな……」
 その最後の言葉は口にされることはなかった。

 それからすぐ後、クロム=ロンダートは突然ラストンに対して反乱を企てた。

「双子は忌み子です。残念ながら、一人はいなかったことに……」
 産婆は、沈痛な面もちで、今生まれたばかりの双子の母、ライニス領主ルルレイン=アンプールにそう告げた。ガラナーク王家では、双子は禁忌とされている。それを聞いてもルルレインは、至って冷静に、
「別にどうでも良いわ。だってどっちも男の子でしょ。家督を継げないのだから、どうでも良いわ。どうせ家のために子を産んでるんだもの。シャルレインに何かあったときのために次を作ってみたけど……ま、必要になれば、また産めばいいわ。」
と、領主の顔になって答える。
「そんなことを仰らずに。あまりにも可哀想です。」
 産婆が、救済を申し込む。
「情けを掛けてどうするの。ガラナーク本家がこんな状態なのはなんでか判っているでしょ。双子は神の地ガラナークでは要らないのよ。じい、どっちが要らない?」
「弟君の方に、『災いをもたらす』相が出ています。あと『禁断を犯す』との相も。『女難』、『独善』、『凶運』、これだけの凶相も珍しいものです。」
 そういったのは、ライニス大司祭のヘルダーヴ=アノタウスだった。
「そう。じゃ、そっちを捨てておいて。」

 深夜。産婆の手によって、城外に連れ出される赤子。
「可哀想な子。実の親からすら愛されずに、捨てられ殺されそうになって…せめて名前だけでも付けてあげましょう……」
 しかし、彼に名を付けられることはなかった。夜盗の手によって産婆は殺され、赤子は売り物として、連れて行かれた。
 その後、数奇な運命を辿って、生きたままフィルシムに付いたのは、まさに『凶運』の持ち主としか言いようがない。そしてその子に『カイン』と名付けられたのも、また何かの運命であろう。

研究所跡

「…既に焼け跡か。トーラファンが見たら悲しむな。」
 恵みの森だろうか、広葉樹の生い茂る豊かな森の中の研究所にあった中央研究室跡。まだあちこちで炎が燻っている。
「『星は砕けて22個に散った。』か。クロムよ、これがお主の望んだ結末か。踊らされていただけのように思えて仕方がないのだが。」
 足下には壊れた円筒形の筒の中から出てきた赤子の死体が転がっている。研究所跡を隈無く調べて廻るエクシヴ。やがてこの破壊が内部から行われたことが判る。
「『昔、愛し合った男女には、身分の差があった。女は男の子を成したが、子供と男を捨てて、故郷に帰った』『そしてこの地で相まみえる』か。一流のカードマスターのカードというのは恐ろしいぐらい当たるものだな。この状況を見れば全てが手に取るように判るな。どうやら、ハーヴェイも既に訪れた後のようだな。彼もショーテスの施設に向かっていたはずだが、こっちまで足を延ばすとは『田舎でゆっくりしたい』のではなかったかな。だが、そうならばもう何も残っては居らぬか。」
 野外に残る巨大車輪の後を見付けたエクシヴがそう独り言を呟いた。すると、弱々しい微かな赤子の泣き声が聞こえてきた。
「ふむ。確かに確認したはずだが…」
 声の主は、先ほど転がっていた、死んだはずの赤子であった。
「『旧友との出会い』か。運命には従おう。連れて帰るか。さて、名は何にしようか。」

兄弟

 エルフォスは病弱だった。一生の大半をベッドの上で過ごした。彼はいつもベッドから、外で遊ぶ兄たちを眺めていた。長兄アーベルと三兄ラルキアは父ルギアに似て木陰で本を読んだりするのが好きだったなぁ。体力自慢で無口の次兄セリフィア。名前のことやよくどっちにも似て無いことなど、何かにつけて憤りをいろんなモノにぶつけてったっけ。僕からすれば、頑丈で健康なだけで充分だと思うんだけど。
でも、そんな兄たちをうらやましいと思ったことはあっても、不思議と恨んだことはなかったなぁ。何故だろう。これが僕の運命だって、そう受け入れちゃったからかなぁ……

「俺、父ちゃん探してくる。エルフォスが死んだことや、母ちゃんが寂しがっていることを伝えて、『スリープ』で眠らせてでも、『ウェブ』でくるんででも連れて帰る。」
「よろしく頼みましたよ、アーベル。でも無茶はおやめ。無事が何よりだから。」
 新品のローブに身を包んだ、アーベルはそう言って旅立っていった。

 3歳年上の兄、アーベルはいわゆる、優等生タイプだった。長男という自覚、あるいはプレッシャーがそうさせたのか、非常に物静かで常に自分のポジションを気にしているように見えた。几帳面で、悪く言えば神経質といえるかもしれない。兄さんからして見れば俺はたいそう出来の悪い弟だっただろう。魔法も使えず、外で揉め事ばかり起こしてくる。俺を責めたことは一度としてない。ただ一言、「セリフィアは凄いな」とつぶやくようにいったことがあった。その時は何を言っているのかわからなかった。今になって思うと「俺だったら耐えられない」という意味がこめられていたのだ。魔術師として、将来有望といわれていたが不思議と嫉妬やねたみといった負の感情が生まれたことはない。却って、時々見ていてつらそうだなと思うことがあった。
すぐ下の弟、ラルキアは年も近いせいかよく周囲の人に比較対象とされていた。なんで弟はちゃんと出来るのに……というのが基本的な周囲の反応である。いつも母さんのそばにいたような印象がある。それは単純に甘えていただけかもしれないし、幼くして亡くなった末弟の分、自分が母さんを元気づけようとしていたのかもしれない。陽気で、誰からも愛されるタイプといえるだろう。兄弟仲は決して悪くなかった。が、弟に対して気づかないうちに抱いてしまう負の感情が、自分自身何よりも許せなかった。
 末っ子のエルフォスはあまり体が丈夫ではなかった。病気がちで、外に出ることを控えることも度々あった。俺が剣を振っているのを家の中から見るのが好きで魔術の才覚も見せていたが、俺にはよく「戦士になりたい」といっていた。自分の持っていないものへの憧れと、自分も思う存分体を動かしたいという願望がそう言わせたんだろう。その時は一緒に旅をしよう、と二人でかわした秘密の約束はついに果たされることがなくなってしまった。いまでも、「守るべきもの」といえばエルフォスが頭に浮かぶ。親父はエルフォスを一番可愛がっていたように思える。

 20の時に妻エリオルと結婚し、それから続けて子宝に恵まれた。長男アーベルは物静かで周りの評価を気にする繊細な子だった。次男のセリフィアは、生まれる前に高名な占い師に名前を相談したところ、女の子が生まれるといわれ用意した名だった。実際には元気な男の子が生まれたわけだが……。三男のラルキアは完全にお母さんっ子の甘えん坊だった。四男エルフォスは小さい頃から体が弱くて目の離せない子であった。

「た、助けて母ちゃん。助けて父ちゃん。アー兄ちゃん、セイ兄ちゃん……痺れるよ、身体が言うこと聞かないんだ…しびれ……」
 ハイブの牙が、ラルキアの肩に食い込む。隣では既に母エリオルがハイブの毒牙にかかっていた。薄れ行く意識の中で、必死になって皆に助けを呼ぶラルキア。その声は、助けを求めた人たちには、遂に届くことはなかった。

修道院

「なぜ、お勉強をさぼるのですか。貴女は、貴女のお父上が、貴族の息女にふさわしい人物になって欲しい、と、この修道院にお預けになったのです。」
 クダヒにある、貴族の令嬢が住み込みで教育を受ける女子修道院の一室。一人のシスターから、ヴァイオラは延々と毎度おなじみの説教を受けていた。より良い縁組みを迎えるためだけの、形式張った中身のない礼法・裁縫・舞踏などの教育。親が貴族というだけで自分まで偉くなったと勘違いしているその娘達。見栄と体裁ばかりにとらわれた意味のない会話。どれもうんざりだった。唯一の救いは、神学の成績が良かったために入ることの出来た上級神学コース、つまり僧侶としての道を歩める可能性があるということだけだった。週に二日、上級神学コース出席を名目に外に出ては、門限破りや外泊を繰り返していた。

「どうして貴女は、お約束を守ることが出来ないのですか。しかも貴族の息女が下町に外泊だなんて。そんなはしたない真似をして、お父上が悲しまれることが判らない年齢ではないでしょう。」
「こうしている間にも、その下町では飢えや貧困、不当な扱いを受けて困っている人たちが居ることを、この人は判らないんだろうな」などとシスターの話など上の空で、彼女は自分の大切な仲間のことを考えていた。「トールは怪我をしていたけど大丈夫だろうか。」「メイがそれを見たら、びっくりするだろうな。」「子供達のご飯がないって言ってたっけ。キーロゥが早まったことをしなければいいが。」「ミリーを狙っているっていう一団が出てるって噂があったけど、注意するように言ったことはちゃんと伝わってるのかな。」等々。
「ヴァイオラさん、判りましたか。」
 そんなことを考えていたら、いつもの説教は終わっていた。
「はい。」
 ちゃんと返事をしないと、また長々と続くので、一応返事だけはちゃんとしておいた。

下町

「アッシの人生はこんなモンです。」
 そう呟いたロッツの前には、服をはぎ取られ、陵辱され殺された彼の恋人の姿があった。彼の両親は数年前に当時の流行病で死んでいた。ちょっと高価な薬を買えば助かったものの、薬を買う金もなく、盗みをやったら運悪く捕まり、帰ってきたら既に両親とも冷たくなっていた。兄は10歳になる前に、たまたま通りがかったヘルハウンドの餌になり、妹は、よく解らない怪しい魔術師に買われていったきり、2度と姿を見せなかった。
 ようやく彼に運が向いてきたのは、ファーカーのストリートキッズグループに入ってからだった。このグループは殺しもいとわない極悪集団で、恐れられてもいたが敵も多かった。今回の恋人殺しは、対立するバカンのグループによるものだった。
 抗争は日増しに激化し、遂に互いのグループ内に数人の死者を出すに至った。この抗争は、ファーカーのグループから、ファーカー、バベッジの両巨頭が冒険者になるために抜け、ロッツが後を引き継いで路線を変更し、シマを引き渡してようやく沈静化した。敵の多かったファーカーのグループはバカン&エドウィナ兄妹のグループの巧みな包囲作戦により、疲弊しきっており、そのままでは全滅の憂き目もあったのだが、仲間の多くはロッツの外交を弱腰だとしか認めず、非難した。
 彼の心は傷付き……

強く入ってきた感情に混じって
いくつかの微弱な感情
いつもなら閉ざせたであろう
それらの感情も
今の《あなた》には容易に入り込んでしまう


「ガサラックや、ガサラックや、どこにおるのじゃ。」
 老婆の息子を呼ぶ声が、狭い家の中にこだまする。老婆は夢にうなされて目を覚ましたようだ。
「かあさん、ここにいますよ。」
 すぐ近くで、息子の声がする。息子はまだ若い青年だ。老婆は、大分苦労してきたのか、歳よりもずっと老けて見える。目だけでなく、身体の具合も悪いのだろう、あまり先は長くないようだ。
「おお、ガサラックや、よぉくお聞き、冒険者だけは気を付けるんだよ。奴らは平気で人を踏みにじる。人の心も、生活も。奴らは自分らが特別なモノだと思い上がっている。どんなヤツでも所詮冒険者は冒険者だよ。ホントに気を付けるんだよ。」
「かあさん判ってるよ。俺はここにいるよ。大丈夫だって。」
「そうかい、そうかい。かあさん、お前だけが頼りだよ。ほんといつもすまないねぇ。お前には迷惑ばかりかけて。贅沢もさせてやれず、不自由な思いばかりさせて。」
「そんなこと無いよ。母さんはたった一人の家族じゃないか。」
 カアサン、アリガトウ。カアサンニハカンシャシテル。カアサンニハカナシイオモイハサセナイヨ。デモネ、カアサン。オレニハマダミヌオヤジノチモナガレテルンダ。カアサンヲステテイッタコトハユルセナイケド、ボウケンシャノキモチッテユウノモリカイデキナイワケジャナインダ。
 ゴメンヨ、カアサン…

「弟だからといって遠慮することはない。お前に能力が有ればこの村はお前に譲る。キッシンジュにもそういってある。お前はお前の道を進むがよい。自分の長所を伸ばすもよし、短所を補うもよし、未知の分野に挑戦するのもよかろう。で、どうしたい?」
 ある晩のこと。次期村長の座を巡る話になった時のことである。
「はい。私もお父様と同じく、魔術師の道に進みたいと考えております。魔術を通して世界に触れ、自分に何が出来るか、何をすべきかを考えていきたいと思います。」
 冷静に、青年は答えた。
「そうか、よかろう。ならば早速魔術を習いにフィルシムに行くがよかろう。金銭面のバックアップと私の名を使うことは許そう。後は全て自分で道を切り開くがよい。お前が思う人物を師と仰ぐもよし、冒険者向けの学園に入学するもよし。これからの人生は常に選択が付きまとう。特に冒険者や人を束ねる立場になれば、生死をかけるような重要な選択を迫られるであろう。全てに正しい選択を行うことは不可能だ。ならば如何にリスクを減らすか、失敗した選択からいかにリカバリーするか、よく考え、時期を誤らずに決断するのだぞ。」
「はい。有り難うございます。早速、明日にでも出発いたします。」
 ケツダンカ…ソレガイチバンムズカシイ…ワタシハナニガヤリタイノカ…チチノキタイニコタエタイノカ…ジブンノミチ…ジブンノミチッテナンダロウ……

orangedice [shortland VIII-miscellaneous13] orangedice Gの夢5:460年4月15日の夜 orangedice

成人の儀式

「今日、アウジャイルが『成人の儀式』を無事済ませたよ。これで幼人はお前と俺の二人だけになったよ。俺も来月には、『成人の儀式』をするつもりだ。当然、女神様に全てを捧げて『神の眼』となるんだ。お前も俺と一緒に『成人の儀式』を受けよう…」

 …平和だが退屈な雲上での毎日。決まったことの繰り返し。変化に乏しい時が永遠に続いていく…耐えられない!
 確かに人間はとても愚かだ。教育で見てきた人間の愚かしいこと、非道いこと、残酷なこと…神より賜れしショートランドを、我がものだと勘違いし好き勝手にやっている迷惑な種族。そしてその人間に振り回されて変化していく獣人たち。今回の件も人間達の勝手な行いの蒔いた結果だと判っているのに……
 商を司る『コイン』を賜った蝙蝠族、農を司る『ワンド』を賜った猪族、聖を司る『カップ』を賜った鮫族、権を司る『ソード』を賜ったバッファロー族。
 女神より賜った四聖宝は、人間族との無駄な争いに巻き込まれバッファロー族と鮫族は絶滅し、四聖宝そのものも人間の手によって破壊された。
 他の種族も似たようなものだ。力強き4大種族、虎族、狼族、熊族、鼠族は、人間社会に混じり、獣人族の理念とプライドを失うことによって、ようやくショートランドで生きていくことが出来るようになった。
 しかし、神の力を使うゼブラ族は、その力を恐れた人間の手によって滅ぼされ、ただ一人残るのみとなり、神の声を聞く耳を持つ狐族は、人間社会に混じることによって『耳』を失った。神の声を話す口を持ったシール族は、その『口』を封印し、人間の近づけない海底でひっそりと暮らしている。
 鷹族も同じではないか。人間と混じるのを恐れて雲上でコソコソと生きている。『神の眼』をもってショートランドを監視する任に当たっていると言い逃れて、その実何もしていない。他の獣人族が滅ぶのも『見ているだけ』。四聖宝が失われるのも『見ているだけ』。人間達が大地を汚すのも『見ているだけ』。異世界の悪魔が来ようと『見ているだけ』。そして今回も…全獣人が滅びの憂き目に会おうが、ショートランドが異世界の怪物に侵されようが、『見ているだけ』、『見ているだけ』、『見ているだけ』!
 あのひとがどうなろうと……

「おい、聞いているのか。結局、禁を破って地上に降りても不幸せなだけだぜ。狭量な人間共には、獣人なんてまず受け入れられない。そうすれば、即座に消滅だ。魂を失うなんて、まさに神に対する冒涜以外何ものでもないぜ。もし、まかり間違って『つがい』に成功したとしても、生き急いでいる…いや死に急いでいるとしか思えない人間と同じだけしか生きられない。それに、力も得られないどころか今ある力も失ってしまう。全く無駄なだけだと思うぜ。」

 確かに無駄かもしれない。でも…この身を焦がす、この熱い気持ちは……

orangedice [shortland VIII-miscellaneous14] orangedice 第三の御神託 orangedice

:::::::: そらからみてるあのこのはなし ::::::::

あのこは私に少し似ていた。
周りとは毛色の違う存在だった。

違いは、私は誰にも責められなかった事、いじめられなかった事。
貴重な雛。
色素がない…劣性の、生き物。
弱い存在、しろいしろい、生き物。
誰も表だって口にはしない、心にだって紡がない。
ただ、そう思っている…私の所為ではないのは明白だし言っても仕方がない事だから。
あいつ以外のオトナ達が懸命に隠している…それが。
うっすらと、冷たく、唯、伝わるだけ。
そして我が侭は笑い流され、身体は傷つかないように腫れ物のように…扱われる。

あのこは責められた、いじめられた。
けなされて、なじられて、それはあの子のせいじゃないのに。
根拠のない、ただの悪意が幾度もあのこを撫で、なぶり、叩く。
あのこは、でも、つよかった。
あのこをあざ笑ったヤツはことごとく地に伏した。
胸がすっとした!
あのこを責めたヤツの恥辱、後悔、恐怖、恐慌、…私はざまぁみろ!って舌を出した。

でもあのこは嬉しくはなかった。
悲しさと切なさがいっぱいで…。
あのこの好きなあのこを責めないひとたちは、そして勝利を喜んだりはしなかった。

どうして?

あのこはどんどん成長した。
ヒトはあっという間に変わってゆく。
でもあのこはかわらない…むなしさと悲しみを心の隅に抱えたまま。

あのこは…あのひと、に、なった。
あのひとを私はずっと見ている。
あのひとが何かする度に…あのひとを見る度に 私の心に複雑な渦巻きが出来る。

あのひとにあってみたい。
あのひとにこえをかけたい。
あいつは流行病みたいなモノだ…って思っているけど、そうじゃないんだ。

あのひとは私を救ってくれた…あのひとを見ている間、私はひとりじゃない。
あのひとは私に少し似てる。
それが私にとって、わたしが存在してもいいって…許してくれるすべて。
かみさまが私を嫌いでも、あのひとのことはきっと好きだから。

わたしはあのひとに語りかける。
いつも見てるから
君の味方だから

あなたはひとりじゃない。

がんばれ!…って

:::::::: スミレの咲く頃 ::::::::

「遂に完成した!
 今度こそ、今度こそ…」

私は、造られた。
あの男に造られた。
私はあの人の代わり…あの男の生み出した命。

還りたい…。
還りたい…
月の見える場所へ、太陽の当たるところへ
どうか私を連れて行って欲しい。

あの人は、強かった。
自分が何であるのかを忘れなかった。
その瞳の力を、その背の輝ける翼を失わず。
大事なものを無くさないため…だからあの男を捨てた。
穢れた者の手を拒んだ。
あの場所へ還るために…。

そして私が生み出される。
同じように聖地から連れ去られ、同じように躯体を造られ
でも、一つだけ違っていたのは……あの男が恐れたこと。
私を…“あの人の代わり”を再び失うのを狂気のように恐れたこと。

私は瞳を固く縫われ、十重二十重に心を縛られた…
何十もの呪文、繰り返される確認。
何にも縛られぬこの精神がその動きを鈍らされるまで。
従順に…あの男に従うように。
どこへもいかないようにと。
やがて、彼が来る。
青い瞳…灰色がかった髪。
あの男を殺し…私に手をさしのべた。
その手に引かれて私は還る…月の見える場所、太陽の当たるところ
彼の瞳に私が映る。
私は思いきり躯を伸ばし…彼に向かって初めてのほほえみを浮かべた。
…スミレの花の咲く頃。

:::::::: 隣にいるあの人 ::::::::

あの人は、いつもそこにいる。
あの人も、私と同じ。

どんな時も、動くことも出来ず
管の中で与えられた栄養と与えられた知識を吸収するだけ。
私は瞳を開いた。
いつもと変わらぬ光景。
たくさんの人たちが忙しそうに歩き回り…でも誰も私を気に止めない。
誰も私を、人としてみない。
私はモノ。
造られし、モノ。

いつの頃からか。
私の隣にあの人が来た。
あの人は…トクベツ。

トクベツなあの人は、特に慎重に丁寧に大切に育てられ…私達を造った偉い人が頻繁にやってきた。
その成長振りを見に来たのだ。
私の事は、作品としか見ないのに…あの人は愛された。
あの人の成長を見て、喜んでいた。

あの人は少し成長した。おとこのこだった。
私は、おんなのこ。
あの人は、魔術師になるんだって。
私は、僧侶になるの。
大きくなったらここを出る。
世界を歩く。
でも今は…私はこども、あのひとは赤子。

orangedice [shortland VIII-miscellaneous15] orangedice ロッツ情報:ファザードについて orangedice

名前は、ファザード・レフフック。男。
フィルシムにて冒険者登録。
六人組の冒険者のリーダー。
レベルは6レベル以上、9レベル未満らしい。
行動範囲はフィルシム国内全土。
カノカンナにも足を伸ばしていることが確認されている。
現在の足取りは不明(行方不明パーティリストに近々載るかも)。

メンバーの名前と職業は不明。

「あまりお役に立てませんで、すいません。多分盗賊かだれかが、足取りを消しているようで」


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