orangetriangleその他の資料 #06〜#10 <<Previous  Next>>

orangedice [shortland VIII-miscellaneous06] orangedice Gの夢2:460年1月22日の深夜 orangedice

 声が、聞こえる。…ああ、また夢か、もううんざりだなぁ、頭の中のこの声…等とまどろみの中で、《あなた》は考えた。
「本当によろしいのですか。彼女は、記憶すら失っているのですよ。自分が何のために世界に降りたのか、判ってもいないのに、そんな重要な任務を背負わせて。」
「記憶がないからこそ、公正に判断できるのではないかな。人間だ、獣人だと色眼鏡で見ることなく、正しき道を選んでくれるのではないのではなかろうか。」
「しかし、あまりにもむごすぎます。彼女の肩に全ての獣人の…いや、この世界全ての生物の未来をかけるのは。」
「彼女が、世界の中で、何を見、何を感じ、何を為すか。それが重要なんじゃよ。結果が全てではない。たとえそれが最悪の結果になったとしても、それすらも神は大いなる高みで、御覧になっているのであろう。我々は神の『見る目』となって、世界の全てを見届ける義務があるのじゃ。」
「それでは、あんまりです。」
「主の言いたいことは、判る。しかし、全ては神の御心じゃて。『審判』さえもな。」

 心地よい声。どっかで聞いたことのある、懐かしい響き。しかし、全てはまどろみの中へと消えていった。
 仲間の死。それが『審判』にどういう関わりをもたらすか。それすらも『見られて』いるのかも知れない。

orangedice [shortland VIII-miscellaneous07] orangedice ショーテス独立宣言 orangedice

 ショートランド歴460年1月15日夕刻。ガラナーク王国領ショーテスの領主マリス・エイストは、突如独立を宣言。ショーテス王国を復国させた。
 ことの真相を確認するためにガラナーク王国は、サーランドに駐屯する青色騎士団を中心とする王国軍を派遣するが、ショーテス王国との領土の境に、魔法による謎の『カーテン』がしかれていたため、内部の様子は分からなかった。
 ガラナーク王国軍の精鋭斥候部隊が侵入を試みるも、未だ行方不明。この『カーテン』は、SL431年のショーテス侵攻時に見られたモノときわめて類似しており、ガラナーク王国は、当時の教訓(三国初の連合軍1万人の軍勢が一瞬のうちに失われた)をもとに『カーテン』の究明と除去に全力を注いでいる。

orangedice [shortland VIII-miscellaneous08] orangedice ロッツ情報:ルギアとアーベルの消息 orangedice

 フィルシムでの依頼(ハイブコア殲滅)をこなした後、一人でどこかへ旅だってしまった。その理由として、当時の冒険者仲間と仲違いをしたのではといわれているが、よりハイブを多く倒せる場所に移ったのでは、とも言われている。
 その後の足取りについては、現在ラストン王国主体の『第三次ハイブ討伐隊』メンバーにその名を見ることが出来るが、ラストン王国崩壊後、詳しい行方は不明である。
 なお、ルギアの長子アーベル=ドレイクも一年ほど前にこのフィルシムを訪れている。当時、貧民街を中心に話題となっていた『ユートピア教団』の足取りをつかむ依頼を受け、仲間と共に行方不明となっている。現在の教団の台頭を見るにこの依頼は失敗したものだと思われる。

orangedice [shortland VIII-miscellaneous09] orangedice ロッツ情報:セロ村の歴史 orangedice

 セロ村の発祥の詳しいところは判っていない。一番有力な説として、サーランド王国中期に、セフィロム=ハッシマーという女性のサーランド貴族が、自分の奴隷と共に移り住んできたのが始まりとされている。
 この女性が、何故、当時辺境だったこの地に移り住んできたのかはっきりしたことは判らないが、多分あまり人には言えない研究をするためだったと思われる。しかしこの辺境の地は、住んでいくには過酷な地で、ほどなくして貴族達は村を捨てて出ていってしまったと言われる。残された奴隷達は、能力奴隷を中心にまとまり、現在の村の形を作っていったとされている。
 現在の領主は、代々領主を務めているローンウェル家の嫡子。彼を除いて彼の兄弟は全て冒険者になって命を落としている。かなりの晩婚でしかも政略結婚の意味合いが強かった。彼の妻は、10年前、38歳で病死。以後、後妻は娶っていない。冒険者嫌いなのはつとに有名。理由は兄弟の件だけではないようだが、詳細は不明。

orangedice [shortland VIII-miscellaneous10] orangedice Gの夢3:460年2月15日の夜 orangedice

《あなた》は雲の隙間から『下』…ショートランドの地上で生活する人々…を見ていた。それは、貴方達、未成年のホークマンには禁止されていることであった。

《あなた》はここのところ、いつも『下』を見ていた。正確には、『下』で生活する人間の、たった一人の男を、見続けていた。

人間は、本当に愚かなことばかりする。とてつもなく馬鹿で配慮に足らない、繁殖力だけが旺盛な、どうしようもない種族だ。

しかし…愚かしくも美しい…

『下』を見ていると、自分でもよく理解できない感情が心の中を渦巻く。

「本当にお前は、『下』を見るのが好きだなぁ。でも見つかるなよ。一応禁止されてんだからな。」

突然…いや、相手のことが判る鷹族にとって、『突然』誰かが近づいてくることはあり得ないことなのだが…《あなた》のよく知っている友達…《あなた》のことを想ってくれている…が声をかけてきた。《あなた》は、すぐにその声の主に返事をする。

「そんなことは言われなくても判っている。そんなことを言いにわざわざ来たのか?」

「おいおい、そんなツンケンしなくても良いだろ。族長がお呼びだぜ。一体なんだろうな。お前、何かしたか。」

『下』を見るのをやめた《あなた》は、一羽ばたきして立ち上がる。そのまま彼を残して飛び立とうとする。

「ちょっ、待ってくれよ。おいてくなよ。」

慌てて、一緒に飛び立つ彼。

「なあ、『にんぎょひめ』の話、聞いたことがあるか? 声と引き替えに地上に降り立ち、最後に泡になって消えていく、あの話だ。あれって、本当にあった話なんだぜ。しかも、『にんぎょ』じゃなくて、禁を破ったホークマンの話だって…」

「…だから、なんだ?」

彼の話の腰を折って、加速していく《あなた》。前方には雲の神殿が見える。



彼がなぜそんな話をしてきたのか、今となって真相は分からない。彼の『眼』が、《あなた》の行く末を案じての言葉だったのかも知れない。

それが、彼の『想い』だったのだろう。しかし、その気持ちは…


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