甘い言葉をお前の内から囁こう
蜜のように甘く毒のように熱く
耳を覆う手は折って二度と塞げぬようにしてやろう
むせぶ瞼を剪って瞳を閉じられぬようにしてやろう
この言葉が必ず届くように
観ようとせぬお前の耳元で告げよう
何であれ
より多く与えられる者はより深く愛されている
幸も不幸も彼岸のそのまた彼方
お前の手許には何もない
恒に傍らに退けられ
何も与えられないのは何一つ愛されていないから
否、部外の者に数えられているから
其レを認めるのが怖いのだろう
臆病な女
愚かな女
類例を通して見たとて史書も総てヒトの視点
自分勝手な視座の具現
ホムンクルスが神の愛を承けるなどとは詰まらぬ弁明にすぎない
責め咎め罪の意識を軽くせんと企む彼らの
過誤の合理化、つまりは不正
早く思い知ればいい
あとは神を想うのをやめ
作り手を憎めばいいだけ
それができないなら私に世界を頂戴
僧侶の技はただのテクネー(技術)
私は----私たちはそのテクネーに長けた能力を持つけれど
その能力も血に組み込まれたただのセイマ(記号)
超自然も愛も恵みも魂もいっさいが関わりない
数字と記号と土くればかりが私たちの肉体の基
知らないとは言わさない
お前もあの管から見ていたのだから
お前に存在意義はない
お前の奉仕には意味がないし作り手たる人間には奉仕さるべき価値がない
だからやっぱり世界にとってお前は無価値
共有しうるものを何一つ持たぬお前は無味
ごらん
身近な者すらお前の手を拒むだろう、はっきりと
遠からずわかる
早く諦めなさい
信じることは愚かなこと
裏切られるのは惨めなこと
思い知って
悲鳴を上げる前に私に世界を頂戴
私こそ牢獄の主にふさわしいのだから
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